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刑事事件

保釈

⑴ 保釈とは

起訴前に勾留されている被疑者は、起訴後も、通常、引き続き勾留(身体拘束)されますが、一定の保釈の要件を満たしたうえで、保釈保証金を納付することを条件として、勾留の執行を停止し、身体拘束を解く制度を保釈といいます(なお、起訴前には保釈制度はなく、勾留決定に対する異議申立手続として、準抗告という手続はありますが、容易に認められないのが実情です。)。

⑵ 保釈の種類

保釈請求があった場合、裁判所は、刑事訴訟法第89条各号の除外事由(例えば、被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき等)が認められない限り、保釈を許さなければならないとされています(これを権利保釈又は必要的保釈といいます。)。

また、仮に、権利保釈に該当しない場合でも、裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは職権で保釈を許すことができます(刑事訴訟法第90条。これを職権保釈又は裁量保釈といいます。)。

さらに、裁判所は,勾留による拘禁が不当に長くなったときは,請求により又は職権で保釈を許さなければならないとされています(刑事訴訟法第91条1項。これを義務的保釈といいます。)。

⑶ 保釈保証金

裁判所又は裁判官が、保釈を許す場合、保釈保証金の額を定めることになります。

保釈保証金の額は、法律上、犯罪の性質、情状、証拠の証明力、被告人の性格、資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならないとされており(刑事訴訟法第93条2項)、実務上、そのほかに、被告人の生活環境、身元引受人の有無、他事件との均衡などが考慮されています。

なお、被告人が召喚を受け正当な理由がなく出頭しない等一定の事由があるときは、裁判所により、保釈が取り消される場合があり、保釈が取り消された場合、裁判所の決定により、保証金について、その全部又は一部が没取されることがありますが、このような問題事由がなければ、保釈金は最終的に返ってくるものです。

⑷ 保釈の重要性

身体拘束が続くことで、被告人は、身体的・精神的に非常につらい状況に置かれるうえ、それまでの日常生活に戻れないことから、失職等の不利益が及ぶことが考えられます。

そのため、起訴後においては、身体拘束からの解放を図るために、保釈請求を行うことが極めて重要になってきます。

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