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自動運転車両に関する法的責任の所在等について

2019-06-04 | 弁護士の業務内容 >

2019年6月1日、横浜市内を走る新交通システム「シーサイドライン」が逆走して車止めに衝突する事故が発生しました。

「シーサイドライン」はコンピューターで制御された自動運行の車両ですが、最近では、皆様の身近でも、自動ブレーキシステム等、運転の一部が自動化された自動運転車が発売されるに至っています。

このような自動車の運転の自動化を受けて、昨今、自動運転車両が事故を起こした場合の法的責任の内容、所在が盛んに議論されています。

この点、自動運転車両といっても運転の一部自動化から、運転の完全な自動化まで様々なレベルがあり、レベルによって責任の所在も異なるものと考えられます。

例えば、基本的な動作をコンピューターが行い、緊急時のみ運転者が対応するレベル3の自動運転車が事故を起こしたケースでは、システムの不具合により事故が生じた場合には、運転者に不法行為責任は生じず、製造メーカー等が製造物責任を負うものと考えられます(ただし、運転者が運行供用者責任を負う可能性はあります。)が、緊急時にシステムが要請した動作を運転者が行わなかった場合には、運転者に過失が認められ、運転者に不法行為責任が生じるものと考えられます。

現在の交通事故事件では、基本的には、事故の当事者や、車両の所有者が当事者となることが多く、製造メーカーの製造物責任が問われることは少ないのが現状ですが、高レベルの自動運転車両が導入された暁には、そもそも事故の責任が運転者の注意義務違反にあるのか、システムの欠陥にあるのかといった点等、これまでにない新たな争点が生じる可能性があります。

当事務所でも自動運転車両の導入に伴って生じる責任の内容、所在といった新たな争点について勉強会を行っていますが、今後の議論、自動運転のシステムについては、動向を注視し、勉強し続けていきたいと思います。

弁護士 大本 健太

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