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    民事裁判手続きのIT化

    2024-06-12 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    民事裁判手続きのIT化

    民事裁判手続きに関し、2022年5月に民事訴訟法が改正され、WEB会議により期日進行できる裁判手続きの対象が拡大されたり、書面や証拠をオンライン上で提出できるシステム(mints)が導入される等、段階的に民事裁判手続きのIT化が進んできています。

    当事務所でも、裁判期日でWEB会議を利用することは多いですし、裁判でmintsを利用する機会もあり、民事裁判手続きのIT化を実感しています。

    しかし、IT化に伴い、これまで紙媒体中心であった訴訟記録の管理等が、電子データ中心に変わっていくことで、情報流出のリスクやサイバー攻撃のリスクが増大することが予想されますし、実際、IT化が進んでいる海外では、法律事務所がサイバー攻撃の被害を受けるケースも多いという統計データもあり、情報セキュリティ対策が、より一層重要となってきます。

    当事務所においては、情報セキュリティ対策規程を定めたり、毎月事務所会議を開催し、知識の共有やセキュリティ対策をアップデートする等、情報セキュリティ対策をしっかりと行っておりますので、安心してご相談に来ていただければ幸いです。

    以上

    弁護士 清水貴大

    3月13日以降の感染症対応について

    2023-03-22 | 事務対応について >

    3月13日以降の感染症対応について

    厚生労働省より、マスク着用の考え方の見直しが発表され、新しい方針での運用が始まりましたが、当事務所では基本的に、ご相談やお打合せを対面で行っていること、新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5月までは2類のままである状況を踏まえ、もうしばらくの間は、これまで同様、引き続き感染症対策として以下の通り対応させていただきますので、ご理解、ご協力のほど よろしくお願いいたします。

    <2023年3月13日以降の対応>
    ・弁護士、事務員のマスク着用
    ・ご来所いただく皆様への マスク着用、アルコール手指消毒のお願い
    ・会議室の換気
    ・お茶の提供見合わせ(ご希望の方はお申しつけください)

    マスクの着用について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

    (事務スタッフ 髙木)

    インボイス対応

    2022-11-29 | 事務対応について >

    インボイス対応

    令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度がはじまります。当事務所の経理担当者として、当事務所のインボイス対応の取り組みについてご紹介させていただきます。

    適格請求書(インボイス)を発行できるのは「適格請求書発行事業者」に限られ、「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があり、令和5年10月の制度開始時に、適格請求書発行事業者となっておくには、令和5年の3月31日までに登録を申請しておけば良いのですが、当事務所は前倒しで今年の10月1日時点でインボイスの登録を済ませました。そのため、インボイス制度開始後も、当事務所にご依頼いただく事業者様は、これまでどおり消費税の仕入税額控除を受けることができますので、ご安心ください。

    ただ、逆にインボイス制度で当事務所が「買手側」として仕入や経費の消費税額控除を受けるには、取引先となる「売手側」の準備も必要です。
    以下、国税庁HPより一部引用します。

    まず、「売手側」の登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
    つぎに「買手側」は、仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
    (※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

    引用元:インボイス制度の概要|国税庁 (nta.go.jp)

    適格請求書発行事業者の登録を受けるかは、事業者の任意のため、取引先(売手側)が適格請求書発行事業者かの確認も必要になってくることから、当事務所では、今後必要に応じて取引先様への確認も進めていく予定です。

    (事務スタッフ 髙木)

    未払賃金立替払制度について

    2022-10-12 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    未払賃金立替払制度について

    事務スタッフとして長年働いてきて、破産した企業の破産管財人弁護士を補助する事務を担当してきました。企業の倒産については、労働者を雇用していた場合、労働者の賃金が未払となったままで破産手続に入ることもよくあり、その場合、労働者は賃金を支払ってもらえないまま退職(解雇)となることがほとんどです。こういった時のために、労働者の未払賃金を立替払いする制度がありますので、この制度について少しお話させていただきます。

    未払賃金立替払制度とは、企業倒産により賃金が未払いのまま退職した労働者に対し、未払賃金の一部を独立行政法人労働者健康安全機構が立替払をする制度です。
    立替払いを受けるには要件があり、事業主にかかる要件は、倒産した事業主が、労災保険の適用事業の事業主、かつ、1年以上事業を実施しており、倒産したこと(法律上の倒産及び中小企業事業主であれば事実上の倒産でも可能)が要件となります。
    また、労働者にかかる要件は、①破産手続開始等の申立(事実上の倒産の場合は認定申請日)の6か月前の日から2年間のうちに退職、②未払賃金額等について、法律上の倒産の場合には、破産管財人等が証明(事実上の倒産の場合には、労働基準監督署長が確認)、③破産手続開始の決定等(事実上の倒産の認定)の日の翌日から2年以内に立替払請求するという3つの要件があります。
    立替の対象となる賃金は、退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している未払賃金(定期給与と退職金が対象で、賞与は対象外です)です。ただし、総額2万円未満のときは対象外となります。
    立替額については、未払賃金の総額の8割となり、下記のとおり限度があります。
     

    退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払の上限額
    45歳以上 370万円 296万円(370万円×0.8)

    30歳以上
    45歳未満

    220万円 176万円(220万円×0.8)
    30歳未満 110万円  88万円(110万円×0.8)

    例)退職日に35歳で未払賃金が200万円の場合は、立替払いを受けられる額は160万円     退職日に35歳で未払賃金が300万円の場合は、立替払いを受けられる額は176万円

    労働者健康安全機構が立替払いした総額については、事業主(破産者)に対する債権となり、破産管財人等に対し、労働者健康安全機構が求償します。
     
    破産時は大なり小なり混乱が生じ、痛みを伴うものですが、労働者の賃金は生活の基盤となるものなので、制度を有効利用していただき、少しでも円滑に手続きを進めることができればと思います。

    労働者健康安全機構 未払賃金立替払事業Q&A

    (事務スタッフ 山村)

    個人再生手続申立事件について

    2022-03-22 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    個人再生手続申立事件について

    2021年2月19日及び8月6日のブログにて破産管財事件、同時廃止手続事件についてお話させていただきましたので、今回は個人再生手続申立事件についてお話させていただきます。
     
    1.個人再生手続について
    ⑴個人再生手続とは
    債務超過を解消するためのひとつの選択肢です。ご本人名義の自宅がある方が破産手続を選択すると、原則的には自宅を売却せざるを得ないので、自宅を残したい方でかつ継続的に安定した収入があり、弁済計画を立てることができる方は、個人再生手続を選択されるケースが多いです。
    住宅ローン以外の全債権者の債務を減額(最低弁済額は法律で定められています)し、減額後の債務を原則3年間(特別な事情がある場合は最長5年間)で分割して返済する再生計画を立て、債権者の意見を聞いたうえで裁判所がその再生計画を認めれば、その計画どおりの返済をすることによって、残りの債務(養育費、税金などの一部の債務を除く)などが免除される手続です。

    個人再生手続には次の2種類があります。
    ①小規模個人再生手続
     主に、個人商店主や小規模の事業を営んでいる人等を対象とした手続であり、以下の条件が必要となります。
     ⅰ.借金などの総額(住宅ローンを除く)が5000万円以下であること
     ⅱ.将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあること
    ②給与所得者等再生手続
     主に、サラーリーマンを対象とした手続です。
     利用するためには、①のⅰ、ⅱの条件に加えて次の条件が必要です。
     ⅲ.収入が給料などで、その金額が安定していること
    ⑵住宅ローン特則について
     借金などの債務の他に住宅ローン債務もある方については、小規模個人再生 手続または給与所得者等再生手続の申立をする際に、住宅ローンについての特則を希望する旨を追記することができます。ただし、この住宅ローンについての返済総額は、他の債務などのように減額することはできません。また、この特則を利用する場合には、事前に銀行等の住宅ローン債権者と打合せが必要です。これにより、住宅ローンの返済については、期限の利益を喪失することなく返済を継続でき、所有している不動産の競売を回避することができます。

    2.手続きの流れ
    ⑴受任まで(ご相談)
     個人再生手続を希望される経緯、財産状況、債権者、債権額をお伺いします。場合によっては、個人再生手続を選択できないこともありますので、どの手続がよいのか、弁護士がご本人のご希望や現状のお話を伺わせていただいたうえで手続の提案及び弁護士費用のお見積書を出させていただきます。
     方針が決まり、弁護士業務委任契約を締結できれば、受任させていただきます。
    ⑵受任通知の発送
     受任させていただきましたら、各債権者に対し受任通知を発送いたします。受任通知には、債権額を当事務所宛に返送するように記載しています(債権調査)。この受任通知が債権者に届きましたら、通常、連絡はすべて当事務所宛にくることになり、貸金業者については、貸金業法21条1項9号により直接の要求が禁止されます。
    ⑶財産調査
     不動産、預金、保険契約、自動車等お持ちの財産を開示していただきます。
     預金につきましては、現在利用していない預金も含まれます。また、配偶者や親族など、生活を共にされている方の預金につきましても開示が必要となることがあります。
     保険契約につきましては、自動車やバイク等の自賠責保険、任意保険も含まれますし、掛け捨てと思われる生命保険も開示ください。
     自動車等につきましては、車検証の写しをお預りいたします。
     また、交通事故の示談金、既に発生している債権、財産権についても、すべてご開示ください。
    ⑷債権調査
     債権者宛の債権調査の返信により債権額を確定させます。
    ⑸家計収支表の作成及び弁済金の積み立て
     依頼者の方には、申立に必要な書類の取付等を行っていただくことと並行して、月々の家計収支表を作成いただきます。また、新たに預金口座を開設いただく等して弁済専用の口座に債権者へ弁済する弁済金の任意積立を毎月行っていただきます。どちらも、再生計画の履行可能性を裁判所が判断する材料となりますので、毎月必ず行っていただく必要があり、取り崩したりすることのないようにお願いします。任意積立の月額については、裁判所から指示がある場合がありますが、詳しくは担当弁護士にお尋ねください。
    ⑹個人再生手続申立
     財産調査、債権額の確定が終われば申立書類一式を当事務所で作成し、裁判所に個人再生手続申立を行います。依頼者の方には、引き続き毎月の家計収支表の作成と、任意積立金の積み立てを継続していただきます。
    ⑺開始決定
     裁判所は、申立書類一式を審査し、問題がなければ、個人再生手続の開始決定を行います。
     裁判所から債権者に対し開始決定が送付されます。債権額の異議の申述期間が設けられていますので、この申述期間内に異議等ある債権者は裁判所に対して申述します。
    ⑻再生計画案提出
     上記⑺で債権者から異議の申述がなされなければ、当事務所において再生計画案及び弁済計画表を作成し、裁判所宛提出します。
    ⑼債権者への議決もしくは意見聴取
     上記⑻で提出した再生計画案が裁判所により認められると、書面による決議に付する決定がなされ、債権者に再生計画案とともに送付されます。債権者の議決(小規模個人再生手続の場合)もしくは債権者への意見聴取(給与所得者等再生手続の場合)の期間が定められます。
    ⑽再生計画認可決定
     上記⑼の再生計画案につき、債権者から同意しない旨の回答がなければ、再生計画案が可決され、さらに、裁判所により認可・不認可の決定が行われます。認可決定がなされた場合は、決定からおよそ2週間で官報に掲載され、官報掲載後2週間で認可決定が確定し、確定日の属する月の翌月から弁済計画表に基づいた弁済を依頼者自ら開始していただきます。
    ⑾弁済
     弁済計画表に基づいた弁済を3年間(最長5年間)、毎月依頼者の方自ら行っていただく必要があります。弁済計画表に基づき3年間(最長5年間)の弁済が完了したときに、はじめて債務の残額が免除されます。

     個人再生手続は、依頼者の方が自ら主体的、また長期的に取り組んでいただかなければならない手続です。できなかった場合、手続自体が廃止となる可能性があります。いろいろと分からないことやご不安がおありだと思うので、まずは弁護士にご相談いただければと思います。
     
    (事務スタッフ 山村)

    民事裁判書類電子提出システムについて

    2022-03-09 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    民事裁判書類電子提出システムについて

    2022年2月15日より、甲府地方裁判所本庁及び大津地方裁判所本庁において、民事裁判書類電子提出システム(mints)の試行運用が開始されました。

    このシステムは、民事裁判のIT化の一環として、現在、FAXにて提出することができる裁判書類(準備書面、証拠申出書、証拠説明書、書証の写し等)を、インターネットにより提出することができるシステムとなります。

    特別なアプリケーションのダウンロードは必要とせず、インターネットに接続できるパソコンとメールアドレスがあれば、ウェブブラウザ上で提出書類のアップロード、ダウンロード、受領書の作成及び提出、提出期限の管理などを行うことができます。また、従来必要であった弁護士の職印の押印も必要ありません。

    mints導入庁に係属している事件の訴訟代理人(弁護士)が、相手方の訴訟代理人もmintsの利用を希望している場合にだけ利用することができ、現時点では地方裁判所のみが随時導入していく予定で、簡易裁判所への導入は目処がたっていないとのことです。

    上記の甲府地方裁判所本庁及び大津地方裁判所本庁に続いて、東京地方裁判所本庁、大阪地方裁判所本庁の両地方裁判所の一部と、知財高等裁判所でも試行運用がはじまり、本年4月以降に実際の裁判での使用がはじまるので、当事務所でも利用する機会が近いと思われます。

    また、私たち事務職員も、同じようにシステムが利用できることとなるので、システムの理解と準備をすすめていきます。

    裁判手続のIT化が着々と進んでいますので、常に知識のアップデートを行い、活用できるように備えていきたいと思います。
     

    (事務スタッフ 山村)

    電子取引データ保存の義務化

    2022-03-04 | 事務対応について >

    電子取引データ保存の義務化

    改正後の電子帳簿保存法が、本年の1月1日より施行されました。
    来年の10月1日には消費税インボイス制度の開始も控え、これから様々な面でデジタル化がますます進んでいくと言われており、電子保存法の対策は、経理業務のデジタル化の重要なポイントになりそうです。

    まず、電子帳簿保護法の対象となる帳簿書類等とは、大きく分けて「国税関係帳簿」「国税関係書類」「電子取引の取引情報」の3つをいいます。
    電子データの保存の仕方も、「電子帳簿・電子書類保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つに分けられており、「電子帳簿・電子書類保存」「スキャナ保存」は法律上任意です。

    しかし、すべての法人・事業者に関わる、電子取引(電子メール等での授受、インターネット上からダウンロードなど)」の保存は法律上の義務となり、特に注意が必要です。

    たとえば、改正後の電子帳簿保存法では、「電子取引の取引情報(インターネット上や、PDFでやり取りする請求書や領収書など)」については、印刷して紙で保存することでは、電子取引データの保存に代えることができなくなる、とされているので、保存要件を確認の上、事前の準備が必要です。

    法人・個人事業者にかかわらず、電子取引による取引情報を正しく保存することは、法律上の義務で、きちんと対応しておかなければ、税務調査等でそれが明らかになった場合、青色申告の承認が取り消されてしまい、税務上不利な扱いとなってしまう可能性があるため、きちんとした対応が求められます。

    その他、保存要件や保存場所、保管年数についても注意が必要です。詳しくは国税庁のHPに掲載されているのでよく確認した上で対応したいと思います。

    (事務スタッフ 髙木)

    電子帳簿保存法関係|国税庁 (nta.go.jp)

    0021012-095_03

    支払督促手続について

    2022-01-25 | 弁護士の業務内容 >事務対応について >

    支払督促手続について

    支払督促手続とは、債権者からの申立てに基づいて、原則として、債務者の住所地の管轄の簡易裁判所が、債務者に対して金銭等の支払を命じる制度です(民事訴訟法第382条以下)。裁判所が金銭等の支払いを命じると、判決と同様に強制執行が可能となります。
    金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、裁判所は支払督促を発し、債務者が2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の手続を採ることができます。

    【手続の特徴】
    ① 裁判所書記官は、債務者の言い分を聞かないで金銭等の支払を命じる「支払督促」を発することとされています(同法第386条第1項)。
    ② 債務者は、支払督促または仮執行宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間以内に、その支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に「督促異議の申立て」をすることができます(同法第386条第2項、第391条第1項)。
     仮執行宣言を付した支払督促について督促異議の申立てがない場合には、その支払督促は、確定判決と同一の効力を有するものとされます(同法第396条)。債権者は、「仮執行の宣言が付された支払督促」または「確定判決と同一の効力を有するものとされた支払督促」に基づいて強制執行の申立てをすることができます。
    ③ ただし、債務者が所定の期間内に「督促異議の申立て」をすると、通常の訴訟手続に移行(訴額が140万円以下のときは同じ簡易裁判所、訴額が140万円を超えているときは地方裁判所)し、その手続の中で、裁判官が改めて債権者の請求が認められるかどうかを審理することとなります(同法第395条)。

    【手続の流れ】

                              ※裁判所HPより抜粋

    通常の訴訟を提起すると提訴費用も時間も多くかかりますが、より簡易な方法で判決と同様の債務名義が取得できる(強制執行に着手できる)場合がある手続です。手続については、まずは弁護士にご相談いただければと思います。

     (事務スタッフ 山村)

    成年後見の死後事務について

    2021-12-02 | 弁護士の業務内容 >事務対応について >

    成年後見の死後事務について

    先日、当事務所が成年後見人を務めていた被後見人の方がお亡くなりになりました。

    被後見人が亡くなると、その時点で成年後見は終了し、成年後見の代理権も同時に消滅します。
    そのため、被後見人の財産に関する相続手続きは後見人ではなく、被後見人の相続人が行うことになるため、成年後見人は成年後見終了の手続き後、速やかに相続人に財産を引き継ぎます。

    被後見人に相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄した場合には、財産を引き継ぐ相手がいないため、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立をし、裁判所から選任された相続財産管理人に財産を引き継ぎます。
    また、相続人が行方不明の場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任申立をし、裁判所から選任された不在者財産管理人に財産を引き継ぎます。

    被後見人の死亡により後見人ではなくなりますので、元成年後見人には遺体の引き取りや、葬儀を行う義務がなく、死後の手続きは、原則として被後見人の親族が行いますが、下記のとおり(民法873条の2)、一部の死後事務については成年後見人が行うことが認められています。

    1.相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
    2.相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る)の弁済
    3.本人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要 な行為(上記1及び2の行為を除く)

    このうち上記3に該当する行為をするには、家庭裁判所の許可が必要になります。
    本件も裁判所へ火葬の許可申立を行い、許可を得た上で葬儀会社と連携し、火葬の手続きを行いました。

    師走に入り、忙しくなってまいりますが、気を引き締めて業務に取り組んでいきたいと思います。

    (事務スタッフ 平尾)

    家事調停手続におけるウェブ会議の試行について

    2021-09-03 | 事務対応について >

    家事調停手続におけるウェブ会議の試行について

    2020年12月14日、全国の地方裁判所本庁(全50庁)の民事立会部において、ITツール(Microsoft Teams)を活用した争点整理の運用が開始されていますが、このたび、家庭裁判所における家事調停手続についても、新型コロナウィルス感染拡大防止策の一つとして、家事調停手続にウェブ会議の導入について検討が進められています。

    まずは、2021年度中に、東京、大阪、名古屋及び福岡の各家庭裁判所において、家事調停手続においてウェブ会議での実施が試行されることになり、使用するウェブ会議用ソフトが、シスコシステムズ合同会社のCisco Webex Meetings(ウエブエックス)と決定したとの弁護士会から連絡がありました。

    神戸家庭裁判所はまだのようですが、上記4家庭裁判所での試行がうまくいけば、すぐにでも対応することになると思われます。

    裁判手続のIT化が着々と進んでいます。

    当事務所も、弁護士が裁判所へ出廷せず、ウェブ会議で期日を行うことが増えてきており、約25パーセントはウェブ会議での期日となっています。今後この割合はもっと増えていくと考えられます。

    なお、当事務所では、訴訟手続以外にも、依頼者との打ち合わせにMicrosoft TeamsやZoom等によるウェブ会議を導入しておりますので、ご希望の方は、担当弁護士までお尋ねください。

    (事務スタッフ 山村)

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