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    相続財産清算人の業務について

    2024-03-07 | 弁護士の業務内容 >

    相続財産清算人の業務について

    先日、松谷弁護士が裁判所から選任されて相続財産管理人を務めていた案件が無事に終了しました。
    なお、令和3年4月21日成立、令和5年4月1日施行の民法改正により、相続財産の清算を目的とする場合の管理人の名称が、相続財産管理人から「相続財産清算人」に変更されたため、以下、相続財産清算人と表記します。

    相続財産清算人の職務の流れとしては、相続人の存否を確定し、相続財産から弁済を受けるべき債権者・受遺者(遺言によって財産を受け取る人)を確定させ、相続人の不存在が確定した場合、相続財産を清算し、残余財産を国庫に引き継ぐことになります。

    相続財産清算事務の特徴としては、以下の3パターンがあります。
    ①債務超過型…相続財産より債務の総額が上回っている事案で、不動産の任意売却等が必要な場合、売却手続を行います。
    ②縁故分与型…被相続人の特別縁故者による相続財産の分与申立てが予想される事案で、被相続人との縁故関係を判断し、不動産等の換価方針を決める必要があります。
    ③国庫帰属型…相続財産の清算後、残余財産を国庫に帰属する事案です。

    相続財産清算人に選任されると、まず裁判所が、相続財産清算人選任及び相続人捜索の公告を、6カ月以上の期間を定めて行い、期間満了までに相続人が現れなければ、相続人の不存在が確定します。
    また、相続財産清算人としては、2カ月以上の期間を定めて債権者・受遺者の確認のための公告を行う必要があります。

    そして、必要に応じて債権者や受遺者に対して弁済を行い、相続財産が残った場合、相続財産を国庫に引継ぎ、清算人の業務は終了となります。

    相続財産清算人は、被相続人の財産を管理する責務を負っており、管理状況について、裁判所に対し、報告書や財産目録を適切に提出する等、管理には注意が必要です。
    また、弁済を行ったときや、財産の管理状況に変化が生じたとき、処理方針を変更するとき等、裁判所へ管理報告書を提出し、大きな変化がない場合でも、少なくとも4カ月に1回は現状報告として、報告書を提出します。

    今回は相続人がおらず、特別縁故者からの申立もなかったため、前述の国庫帰属型となり、換価できる財産を現金化し、最終的に残った財産を国庫へ引継ぎ、相続財産清算人の職務は終了となりました。

    同事件の担当事務スタッフとして、事務手続きの補助をさせていただきましたが、国庫債券や、預貯金の国庫帰属といった手続きに戸惑うこともありましたので、今回の経験を次に活かせるようにしたいと思います。

    (事務スタッフ 平尾)

    令和5年度の神戸市の包括外部監査の実施が完了しました

    2024-02-05 | 弁護士の業務内容 >お知らせ >

    令和5年度の神戸市の包括外部監査の実施が完了しました

    補助者として入ってもらった弁護士、公認会計士合わせて10名の大所帯で、市営住宅事業の財務執行に関する監査をさせていただきました。神戸市の市営住宅戸数は政令市のなかでもトップ3に入る多さで、規模も大きく、年間通じての監査は大変でしたが、今回の報告書が少しでも市営住宅事業のより良い改善に結びつけば幸甚です。

    報告書は神戸市のホームページにも公表されていますので、興味のある方はぜひご覧下さい。

    弁護士 松谷卓也

    民事訴訟手続きのIT化について

    2023-09-06 | 判例・法令等 >弁護士の業務内容 >

    民事訴訟手続きのIT化について

    民事訴訟法等の一部を改正する法律が2022年5月25日に公布され、民事訴訟手続きのIT化が加速しています。そのうち「当事者双方がWEB会議、電話会議により弁論準備手続期日・和解期日に参加する仕組み」については2023年3月1日に既に施行されています。また公布後2年以内(2023年度中)には、「当事者がWEB会議により口頭弁論期日に参加する仕組み」が施行予定です。
    今までは、当事者(代理人弁護士)のどちらかが実際に裁判所へ出向かないと、電話会議による弁論準備手続きや和解期日は成立しませんでしたので、代理人弁護士が交互に裁判所へ出向いたり、より裁判所に距離的に近い方が裁判所へ出向いていましたが、今回の改正により、原告、被告の双方ともWEB会議や電話会議での参加により弁論準備手続や和解時期日が行えることとなりました。
    また、提出した書面の陳述は口頭弁論期日でしかできず、今まではWEB会議や電話会議では口頭弁論期日はできなかったのですが、今回の改正(施行は2023年度中)では、口頭弁論期日も双方WEB会議や電話会議でできるようになります。
    WEB会議や電話会議でできる期日が増えることにより、弁護士が裁判所まで出向く時間や交通費等のコストも削減されるため、裁判手続きの効率化が図られることが期待されます。
    今後も、上記のほかに、訴状等のオンライン提出や、訴訟記録の原則電子化等、IT化はますます進んでいき、これにより、裁判手続きのさらなる合理化が進むと思われます。
    当事務所でも、民事訴訟手続きのIT化に対応できるよう、各自のブラッシュアップ等、鋭意取り組んでいきます。

    【参考】法務省 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律について
      

    (事務スタッフ 山村)

    未払賃金立替払制度について

    2022-10-12 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    未払賃金立替払制度について

    事務スタッフとして長年働いてきて、破産した企業の破産管財人弁護士を補助する事務を担当してきました。企業の倒産については、労働者を雇用していた場合、労働者の賃金が未払となったままで破産手続に入ることもよくあり、その場合、労働者は賃金を支払ってもらえないまま退職(解雇)となることがほとんどです。こういった時のために、労働者の未払賃金を立替払いする制度がありますので、この制度について少しお話させていただきます。

    未払賃金立替払制度とは、企業倒産により賃金が未払いのまま退職した労働者に対し、未払賃金の一部を独立行政法人労働者健康安全機構が立替払をする制度です。
    立替払いを受けるには要件があり、事業主にかかる要件は、倒産した事業主が、労災保険の適用事業の事業主、かつ、1年以上事業を実施しており、倒産したこと(法律上の倒産及び中小企業事業主であれば事実上の倒産でも可能)が要件となります。
    また、労働者にかかる要件は、①破産手続開始等の申立(事実上の倒産の場合は認定申請日)の6か月前の日から2年間のうちに退職、②未払賃金額等について、法律上の倒産の場合には、破産管財人等が証明(事実上の倒産の場合には、労働基準監督署長が確認)、③破産手続開始の決定等(事実上の倒産の認定)の日の翌日から2年以内に立替払請求するという3つの要件があります。
    立替の対象となる賃金は、退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している未払賃金(定期給与と退職金が対象で、賞与は対象外です)です。ただし、総額2万円未満のときは対象外となります。
    立替額については、未払賃金の総額の8割となり、下記のとおり限度があります。
     

    退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払の上限額
    45歳以上 370万円 296万円(370万円×0.8)

    30歳以上
    45歳未満

    220万円 176万円(220万円×0.8)
    30歳未満 110万円  88万円(110万円×0.8)

    例)退職日に35歳で未払賃金が200万円の場合は、立替払いを受けられる額は160万円     退職日に35歳で未払賃金が300万円の場合は、立替払いを受けられる額は176万円

    労働者健康安全機構が立替払いした総額については、事業主(破産者)に対する債権となり、破産管財人等に対し、労働者健康安全機構が求償します。
     
    破産時は大なり小なり混乱が生じ、痛みを伴うものですが、労働者の賃金は生活の基盤となるものなので、制度を有効利用していただき、少しでも円滑に手続きを進めることができればと思います。

    労働者健康安全機構 未払賃金立替払事業Q&A

    (事務スタッフ 山村)

    ラジオ出演

    2022-06-15 | 弁護士の業務内容 >

    ラジオ出演

    ラジオ関西の番組「ばんばひろふみ!ラジオ・DE・しょー!」の「知性の玉手箱」コーナーに、6月15日、ゲスト出演しました。

    事業承継、ハラスメントに関する通報窓口、コロナ禍後の支援等、中小企業に対する弁護士としての支援業務についてお話をさせていただきました。

    はじめてのラジオ出演でしたが、ばんばさんの軽快なリードで、自然体でお話することができました。

    今回のラジオ出演が、弁護士が中小企業の支援において果たす役割を知っていただく一助になれば嬉しい限りです。

    なお、リアルタイムで聴けなかった場合も、radikoのアプリで1週間(6月22日まで)聴いていただくことができますので、興味のある方はぜひお聴き下さい。

    radiko タイムフリー (11時06分30秒ごろから)
    パソコンでも聴けます。

    (2022年6月23日追記)
    トーク内容が公開されました。ぜひご覧ください。
    ラジオ関西 ラジトピ

    弁護士 松谷卓也

    精神科病院の第三者委員会

    2022-05-06 | 弁護士の業務内容 >

    精神科病院の第三者委員会

    2021年11月から2022年4月にかけて、神戸市内の某精神科病院における虐待事件等に関する第三者委員会の調査補助者として、患者に対する虐待行為、患者に対する不適切な隔離、その他患者に対する不適切な対応等に関して調査し、報告書を提出していた件について、この5月2日、病院から調査報告書が公表されるとともに、第三者委員会として記者会見を行い、報道されました(調査報告書は当該精神科病院のホームページにおいて公表されています)。

    調査事項や範囲、問題点は非常に多岐にわたり、調査報告書自体、公表版の本文だけで234頁にも及ぶものとなりました。

    調査中にあらたに発覚した問題も多く、時間や権限の限界もあったため、提言のなかでさらなる調査を行うべきとした事項もありますが、調査自体、第三者委員会としては、できる範囲で徹底的に調査をしたという自負はあります。第三者委員会の立場でなければここまで追及できなかった、構造的な問題や経営陣の問題にまで踏み込んで追及していますので、調査を終えた感想として、第三者委員会の果たす役割の重要性、必要性について、再認識しました。

    センセーショナルな虐待行為が発生した精神科病院として非常に社会的注目を浴びている事件で、調査でもさらなる多くの問題点が見つかったこともあり、調査報告書のなかでかなり厳しいことをたくさん書きましたが、膿を出し尽くさないと傷口は治らないという思いで、病院が改善して行けるよう徹底的な調査をしましたので、今回の調査をきっかけに、病院が改善していくことを期待しています。

    第三者委員会の提言としては、調査報告書の提言に対応する改善計画の速やかな公表と改善した内容の公表も提言していますので、今後の病院の動向、改善計画書や改善した内容の公表も見守っていきたいと思います。

    弁護士 松谷卓也

    民事訴訟手続のIT化~神戸地裁管内の各支部での運用開始~

    2022-04-28 | 弁護士の業務内容 >

    民事訴訟手続のIT化~神戸地裁管内の各支部での運用開始~

    神戸地裁本庁においては、既に運用が開始されているウェブ会議等を活用した争点整理手続きの運用(フェーズ1)ですが、神戸地裁管内の各支部においても、運用が開始されるようです(尼崎支部、姫路支部、伊丹支部、明石支部は本年5月23日から、豊岡支部、洲本支部、柏原支部、社支部、龍野支部においては本年7月4日から)。

    私自身、洲本支部に係属している訴訟事件があり、これまで月に1度、洲本支部まで出頭しておりましたが、本年7月以降はウェブ会議で期日が開催される見込みとなり、移動の負担がかなり軽減されます。

    ウェブ会議は、電話会議とは異なり、裁判官や相手方代理人の表情を確認しながら協議できる点や、資料を共有しながら協議できる点で電話会議よりも優れている点があり、私個人としては、こういった民事訴訟手続IT化の方向性は好ましいものと考えています。

    今後も民事裁判書類の電子提出システムの運用開始など、民事訴訟手続のIT化はどんどん進んでいき、利便性はどんどん向上していくのではないかと思いますが、一方で、それに応じたセキュリティ面での対策が新たに必要となることも看過してはなりません。

    当事務所においては、皆さまに安心してご相談いただけるよう、毎月事務所会議を開催し、知識の共有、セキュリティ対策のアップデートを常に心がけておりますので、ご不明な点、ご不安な点等ございましたら、お気軽にお問合せいただければと思います。

    弁護士 大本健太

    公営企業の第三者委員会

    2022-04-21 | 弁護士の業務内容 >

    公営企業の第三者委員会

    2021年12月から2022年3月にかけて某地方公共団体の公営企業における第三者委員会の委員として、セクハラ、職場内での暴言、人権侵害行為等について調査し、報告書を提出していた件について、4月19日、当該公営企業から調査報告書が公表され、ニュース番組、新聞各社等でも報道されることとなりました(調査報告書は当該公営企業のホームページにおいて公表されています)。 

    上記期間中は非常にタイトなスケジュールになりましたが、問題行為、原因、背景事情等に関する調査を終え、無事に予定された期限内に調査報告書を納品することができました。

    今回の調査と調査報告書の提出、公表により、当該団体の組織風土を含めた問題点が改善されることを願っており、改善の一助となれば嬉しい限りです。

    当事務所としては、今後も、第三者委員会の仕事を含めた、企業等の不祥事、危機管理の問題について注力し、地域社会に貢献していきたいと思います。

    弁護士 松谷卓也

    個人再生手続申立事件について

    2022-03-22 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    個人再生手続申立事件について

    2021年2月19日及び8月6日のブログにて破産管財事件、同時廃止手続事件についてお話させていただきましたので、今回は個人再生手続申立事件についてお話させていただきます。
     
    1.個人再生手続について
    ⑴個人再生手続とは
    債務超過を解消するためのひとつの選択肢です。ご本人名義の自宅がある方が破産手続を選択すると、原則的には自宅を売却せざるを得ないので、自宅を残したい方でかつ継続的に安定した収入があり、弁済計画を立てることができる方は、個人再生手続を選択されるケースが多いです。
    住宅ローン以外の全債権者の債務を減額(最低弁済額は法律で定められています)し、減額後の債務を原則3年間(特別な事情がある場合は最長5年間)で分割して返済する再生計画を立て、債権者の意見を聞いたうえで裁判所がその再生計画を認めれば、その計画どおりの返済をすることによって、残りの債務(養育費、税金などの一部の債務を除く)などが免除される手続です。

    個人再生手続には次の2種類があります。
    ①小規模個人再生手続
     主に、個人商店主や小規模の事業を営んでいる人等を対象とした手続であり、以下の条件が必要となります。
     ⅰ.借金などの総額(住宅ローンを除く)が5000万円以下であること
     ⅱ.将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあること
    ②給与所得者等再生手続
     主に、サラーリーマンを対象とした手続です。
     利用するためには、①のⅰ、ⅱの条件に加えて次の条件が必要です。
     ⅲ.収入が給料などで、その金額が安定していること
    ⑵住宅ローン特則について
     借金などの債務の他に住宅ローン債務もある方については、小規模個人再生 手続または給与所得者等再生手続の申立をする際に、住宅ローンについての特則を希望する旨を追記することができます。ただし、この住宅ローンについての返済総額は、他の債務などのように減額することはできません。また、この特則を利用する場合には、事前に銀行等の住宅ローン債権者と打合せが必要です。これにより、住宅ローンの返済については、期限の利益を喪失することなく返済を継続でき、所有している不動産の競売を回避することができます。

    2.手続きの流れ
    ⑴受任まで(ご相談)
     個人再生手続を希望される経緯、財産状況、債権者、債権額をお伺いします。場合によっては、個人再生手続を選択できないこともありますので、どの手続がよいのか、弁護士がご本人のご希望や現状のお話を伺わせていただいたうえで手続の提案及び弁護士費用のお見積書を出させていただきます。
     方針が決まり、弁護士業務委任契約を締結できれば、受任させていただきます。
    ⑵受任通知の発送
     受任させていただきましたら、各債権者に対し受任通知を発送いたします。受任通知には、債権額を当事務所宛に返送するように記載しています(債権調査)。この受任通知が債権者に届きましたら、通常、連絡はすべて当事務所宛にくることになり、貸金業者については、貸金業法21条1項9号により直接の要求が禁止されます。
    ⑶財産調査
     不動産、預金、保険契約、自動車等お持ちの財産を開示していただきます。
     預金につきましては、現在利用していない預金も含まれます。また、配偶者や親族など、生活を共にされている方の預金につきましても開示が必要となることがあります。
     保険契約につきましては、自動車やバイク等の自賠責保険、任意保険も含まれますし、掛け捨てと思われる生命保険も開示ください。
     自動車等につきましては、車検証の写しをお預りいたします。
     また、交通事故の示談金、既に発生している債権、財産権についても、すべてご開示ください。
    ⑷債権調査
     債権者宛の債権調査の返信により債権額を確定させます。
    ⑸家計収支表の作成及び弁済金の積み立て
     依頼者の方には、申立に必要な書類の取付等を行っていただくことと並行して、月々の家計収支表を作成いただきます。また、新たに預金口座を開設いただく等して弁済専用の口座に債権者へ弁済する弁済金の任意積立を毎月行っていただきます。どちらも、再生計画の履行可能性を裁判所が判断する材料となりますので、毎月必ず行っていただく必要があり、取り崩したりすることのないようにお願いします。任意積立の月額については、裁判所から指示がある場合がありますが、詳しくは担当弁護士にお尋ねください。
    ⑹個人再生手続申立
     財産調査、債権額の確定が終われば申立書類一式を当事務所で作成し、裁判所に個人再生手続申立を行います。依頼者の方には、引き続き毎月の家計収支表の作成と、任意積立金の積み立てを継続していただきます。
    ⑺開始決定
     裁判所は、申立書類一式を審査し、問題がなければ、個人再生手続の開始決定を行います。
     裁判所から債権者に対し開始決定が送付されます。債権額の異議の申述期間が設けられていますので、この申述期間内に異議等ある債権者は裁判所に対して申述します。
    ⑻再生計画案提出
     上記⑺で債権者から異議の申述がなされなければ、当事務所において再生計画案及び弁済計画表を作成し、裁判所宛提出します。
    ⑼債権者への議決もしくは意見聴取
     上記⑻で提出した再生計画案が裁判所により認められると、書面による決議に付する決定がなされ、債権者に再生計画案とともに送付されます。債権者の議決(小規模個人再生手続の場合)もしくは債権者への意見聴取(給与所得者等再生手続の場合)の期間が定められます。
    ⑽再生計画認可決定
     上記⑼の再生計画案につき、債権者から同意しない旨の回答がなければ、再生計画案が可決され、さらに、裁判所により認可・不認可の決定が行われます。認可決定がなされた場合は、決定からおよそ2週間で官報に掲載され、官報掲載後2週間で認可決定が確定し、確定日の属する月の翌月から弁済計画表に基づいた弁済を依頼者自ら開始していただきます。
    ⑾弁済
     弁済計画表に基づいた弁済を3年間(最長5年間)、毎月依頼者の方自ら行っていただく必要があります。弁済計画表に基づき3年間(最長5年間)の弁済が完了したときに、はじめて債務の残額が免除されます。

     個人再生手続は、依頼者の方が自ら主体的、また長期的に取り組んでいただかなければならない手続です。できなかった場合、手続自体が廃止となる可能性があります。いろいろと分からないことやご不安がおありだと思うので、まずは弁護士にご相談いただければと思います。
     
    (事務スタッフ 山村)

    民事裁判書類電子提出システムについて

    2022-03-09 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    民事裁判書類電子提出システムについて

    2022年2月15日より、甲府地方裁判所本庁及び大津地方裁判所本庁において、民事裁判書類電子提出システム(mints)の試行運用が開始されました。

    このシステムは、民事裁判のIT化の一環として、現在、FAXにて提出することができる裁判書類(準備書面、証拠申出書、証拠説明書、書証の写し等)を、インターネットにより提出することができるシステムとなります。

    特別なアプリケーションのダウンロードは必要とせず、インターネットに接続できるパソコンとメールアドレスがあれば、ウェブブラウザ上で提出書類のアップロード、ダウンロード、受領書の作成及び提出、提出期限の管理などを行うことができます。また、従来必要であった弁護士の職印の押印も必要ありません。

    mints導入庁に係属している事件の訴訟代理人(弁護士)が、相手方の訴訟代理人もmintsの利用を希望している場合にだけ利用することができ、現時点では地方裁判所のみが随時導入していく予定で、簡易裁判所への導入は目処がたっていないとのことです。

    上記の甲府地方裁判所本庁及び大津地方裁判所本庁に続いて、東京地方裁判所本庁、大阪地方裁判所本庁の両地方裁判所の一部と、知財高等裁判所でも試行運用がはじまり、本年4月以降に実際の裁判での使用がはじまるので、当事務所でも利用する機会が近いと思われます。

    また、私たち事務職員も、同じようにシステムが利用できることとなるので、システムの理解と準備をすすめていきます。

    裁判手続のIT化が着々と進んでいますので、常に知識のアップデートを行い、活用できるように備えていきたいと思います。
     

    (事務スタッフ 山村)

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