2022-05-06 | 弁護士の業務内容 >
2021年11月から2022年4月にかけて、神戸市内の某精神科病院における虐待事件等に関する第三者委員会の調査補助者として、患者に対する虐待行為、患者に対する不適切な隔離、その他患者に対する不適切な対応等に関して調査し、報告書を提出していた件について、この5月2日、病院から調査報告書が公表されるとともに、第三者委員会として記者会見を行い、報道されました(調査報告書は当該精神科病院のホームページにおいて公表されています)。
調査事項や範囲、問題点は非常に多岐にわたり、調査報告書自体、公表版の本文だけで234頁にも及ぶものとなりました。
調査中にあらたに発覚した問題も多く、時間や権限の限界もあったため、提言のなかでさらなる調査を行うべきとした事項もありますが、調査自体、第三者委員会としては、できる範囲で徹底的に調査をしたという自負はあります。第三者委員会の立場でなければここまで追及できなかった、構造的な問題や経営陣の問題にまで踏み込んで追及していますので、調査を終えた感想として、第三者委員会の果たす役割の重要性、必要性について、再認識しました。
センセーショナルな虐待行為が発生した精神科病院として非常に社会的注目を浴びている事件で、調査でもさらなる多くの問題点が見つかったこともあり、調査報告書のなかでかなり厳しいことをたくさん書きましたが、膿を出し尽くさないと傷口は治らないという思いで、病院が改善して行けるよう徹底的な調査をしましたので、今回の調査をきっかけに、病院が改善していくことを期待しています。
第三者委員会の提言としては、調査報告書の提言に対応する改善計画の速やかな公表と改善した内容の公表も提言していますので、今後の病院の動向、改善計画書や改善した内容の公表も見守っていきたいと思います。
弁護士 松谷卓也