公式BLOG

HOME  >  公式BLOG  >  不動産登記法改正について

不動産登記法改正について

2022-05-19 | 判例・法令等 >

不動産登記法改正について

令和3年、民法・不動産登記法等の一部を改正する法律が成立しました。その中で、所有者不明土地の発生予防と既に発生している所有者不明土地の利用の円滑化の両面から、不動産登記制度の見直しが図られました。

これまでは、相続登記の申請は義務ではなく、申請をしなくても罰則等はなかったため、相続登記がなされないまま相続が繰り返され、土地共有者がねずみ算式に増加し、所有者の探索に多大な時間と費用が必要となることが、地方を中心に問題となってきました。

また、所有者の住所変更登記等の申請も義務ではなかったため、所有者が住所変更の登記をせず、所在が不明となる場合もありました。

所有者の所在等が不明な場合には、土地が管理されず放置されることが多いうえ、共有者が多数の場合や一部所在不明の場合、土地の管理、利用のために必要な合意形成が困難であり、公共事業や復旧、復興事業が円滑に進まず、民間取引が阻害されるなど土地の利活用を阻害し、土地が管理不全化して隣接する土地への悪影響が発生するなど、社会問題化しています。今後ますます深刻化するおそれがあり、所有者不明土地問題解決は喫緊の課題となっていました。

そこでとられた制度の見直しとして、主な改正項目は、①相続登記の申請の義務化、②住所変更登記等の申請の義務化の2点となります。

① 相続登記の申請の義務化について(令和6年4月1日施行)
 ⑴ 不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける【新法第76条の2】。
 ⑵ 正当な理由がないのにその申請を怠った場合には、10万円以下の過料に処することとする【新法第164条第1項】。
 
施行日(令和6年4月1日)以前に相続が発生していたケースについても、登記の申請義務は課されます。その場合、施行日とそれぞれの要件を充足した日のいずれか遅い日から法定の期間(3年間)がスタートします。

② 住所変更登記等の申請の義務化について(公布後5年以内施行)
 ⑴ 所有権の登記名義人に対し、住所等の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることを義務付ける【新法第76条の5】。
 ⑵ 正当な理由がないのにその申請を怠った場合には、5万円以下の過料に処することとする【新法第164条第2項】。
  
施行日(公布後5年以内施行)前に住所等変更が発生していたケースについても、登記の申請義務は課されます。その場合、施行日とそれぞれの要件を充足した日のいずれか遅い日から法定の期間(2年間)がスタートします。

登記未了の不動産は、遺産分割協議も行われていなかったり、過去に協議はしたが書面が残っておらず、さらなる相続も発生し、現在の相続人間で認識の食い違いがある等、遺産分割協議も含めた問題になることも多いことから、まず弁護士にご相談いただければと思います。
 
〈参考〉法務省ホームページ
 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html

(事務スタッフ 山村)

ページトップへ