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財産開示手続

1 財産開示とは
強制執行の申立てを予定している、あるいは行ったが失敗に終わった債権者が、債務者本人や第三者機関に対して、債務者の財産に関する情報の提供を求めることのできる手続をいいます。

2 財産開示実施の要件
「執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者(民事執行法197条1項)及び「一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者」(同法197条2項)が財産開示の申立てを行うことができます。
申立てができる債権者であれば直ちに申立てできるわけではなく、強制執行等により完全な弁済を得られなかった場合(同法197条1項1号、同条2項1号)、もしくは知れている財産からでは完全な弁済が得られない場合(同条1項2号、同条2項2号)のいずれかの場合にのみ申立てをすることができます。

3 2020年の改正
改正前の財産開示手続は、債務者が財産開示手続を無視した場合や虚偽の陳述をした場合、30万円以下の過料が課せられる程度の制裁しかなく、30万円以上の債務がある場合には、過料の制裁を受ける方が経済的に負担は軽く、財産開示手続の実効性が担保されていない状態でした。また、仮執行宣言付き判決や執行証書、確定判決と同一の効力を有する支払督促では申立をすることができず、申立てできる債権者が制限されていました。
そこで、2020年に民事執行法の改正が行われ、債務者が財産開示期日に呼出しを受けたにも関わらず、正当な理由なく出頭しない場合、もしくは陳述をしない場合、虚偽の陳述をした場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることになりました(同法213条1項1号)。つまり、財産開示手続に応じない場合、前科がつく可能性があるため、財産開示手続の実効性の向上が期待できるということです。また、申立要件が緩和され、いかなる種類の債務名義でも申立てが可能になりました。
さらに、金融機関や公的機関が所有する情報の取得が可能になる第三者からの情報取得手続制度も新設されました(同法204条以下)。同制度により、債務者が所有する不動産の所在地や家屋番号、給与・勤務先、預貯金口座(支店名、口座番号、金額)、上場株式等に関する情報を得ることができるようになります。

4 結語
せっかく訴訟までして勝訴して債務名義を得られたとしても、最終的に債権を回収できなければ、その債務名義はただの紙切れとなってしまいます。財産開示手続はそのような「絵に描いた餅」のような状態を解消し、債権回収の実効性を少しでも高めるための制度となっています。
当事務所では、訴訟だけでなく強制執行や財産開示手続についても対応いたしますので、債権回収でお困りの方は弁護士までご相談下さい。

以上

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