遺言によって、遺産の全部又は一部を相続人又は第三者に譲渡することを遺贈といいます(遺贈によって財産を与えられた者を、受遺者といいます。)が、受遺者に一定の行為を負担させる内容の負担付遺贈も可能です。
例えば、被相続人の子に不動産を遺贈する代わりに、被相続人の妻の生活の面倒をみてもらいたいケース、1000万円を被相続人の子に遺贈し、その中から100万円を被相続人の孫に与えたいケースなどが考えられます。
また、負担させる内容は、遺贈の目的物の価格を限度とされているため、負担を履行してもらうためには、遺贈する目的物の価格と負担内容のバランスを検討する必要があるうえ、負担の内容を客観的で明確な条項として定める必要があります。
そして、受遺者が負担を履行しない場合、相続人は、相当の期間を定めて催告をし、その期間が徒過したときに、遺贈の取消しを家庭裁判所に対して請求することができ、遺贈を取り消す旨の審判がされたときは、遺贈の目的物は相続人に帰属し、法定相続分に従って目的物を分けることになります。
遺言書作成時に、遺言者の思いが実現されるようにするためには、負担の具体的内容や文言は重要なものとなり、法的観点、紛争リスクを踏まえて検討する必要があります。
また、受遺者が負担を履行しない場合の対応等については、負担の内容の解釈だけでなく、立証の問題も踏まえて対応を検討することが重要です。