会社の破産時、労働債権、従業員の処理がどうなるのか、経営者としては気をつかうところだと思います。
会社自体の事業を終了し、事業所を閉鎖するわけですから、原則的には事業停止時点で即時解雇することになるケースがほとんどです。
未払給料、退職金及び解雇予告手当は、財団債権あるいは優先的破産債権となりますし(優先順位は財団債権>優先的破産債権>一般破産債権となります)、従業員の混乱を最小限にとどめ、財団散逸を防止するためにも、会社の財産状況として支払可能であれば、破産申立て前にこれらの労働債権の弁済は行うべきものと考えられます。
仮に事業停止時に未払い労働債権が残る場合、労働者健康安全機構の立替払い制度の利用を検討することになりますが、同制度利用のためには、管財人に賃金台帳、退職金規程などの資料が引き継がれることが必須です(なお、立替払いされる金額は対象となる範囲の労働債権の100分の80となります)。
また、同制度の利用には、当該労働者の退職から6カ月以内に破産手続開始申立てを行う必要がありますし、労働債権は、破産手続開始前3ヶ月間の給料等が財団債権として、一般の破産債権よりも優先順位が高いものとなりますので、速やかに破産申立てを行うことがこれまで会社で働いてくれた従業員のためにもなるものです。