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否認権

否認権とは、債務者の責任財産が絶対的に減少する詐害行為や債権者間の公平を害する偏頗行為があった場合に、管財人がこれを行使することで、破産財団から流出した財産の返還や金銭の返還を受けることにより、債務者の財産を原状に復させ、これを債権者に公平に分配するために定められた制度です。

否認権は、破産手続きにおいては破産管財人によって、否認対象行為の相手方に対する任意の返還請求や、否認の訴え、否認の請求又は抗弁によって行使され(破産法173条1項)、これにより、流出した財産は破産財団に復することとなります(同法167条1項)。

否認権の対象となる行為については、有害性、不当性といった一般的な要件が充足されることが必要と考えられる他、破産法に個別の類型が定められています(破産法160条乃至同法162条)。

具体的には、破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした、既存の債務についてされた担保の供与または債務の消滅に関する行為(但し、債権者が支払不能又は支払停止の事実乃至破産手続開始の申立てがあったことを知っていた場合に限る。同条1項1号但書及び同号イ、ロ)や、破産者の義務に属せず、又はその時期が破産者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前30日以内にされたもの(ただし、債権者がその行為の当時他の破産債権者を害する事実を知らなかった場合を除く。)は、偏頗行為として否認の対象となります(法162条1項2号)。

また、詐害行為についても否認が認められており、具体的には、破産者が破産債権者を害することを知ってした行為(同法160条1項1号)、破産者が支払いの停止又は破産手続開始の申立てがあった後にした破産債権者を害する行為(同条1項2号)、破産者が支払いの停止等があった後又はその前6ヶ月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為(同条3項)、対価的均衡を欠いた弁済等(同条2項)が否認の対象となります。

また、相当な対価を得てした財産の処分行為についても否認の対象とされています(同法161条1項本文)が、正当な取引が否認の危険にさらされるおそれがあることから、このような行為について否認が認められるのは、その行為が①不動産の金銭への換価等の処分による財産等の処分による財産の種類の変更により、債務者において、隠匿等の処分のおそれを厳に生じさせるものであること、②債務者が行為当時対価として得た金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと、③相手方債務者の隠匿等の処分をする意思を知っていたこと(同項1号乃至3号)といった要件を満たす場合に限られます。

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