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    SDGs経営者保証ガイドライン再チャレンジ研修会

    2022-02-03 | 弁護士の業務内容 >

    SDGs経営者保証ガイドライン再チャレンジ研修会

    先日、弁護士会で行われた経営者保証ガイドラインの研修会でパネリストとして報告させていただきました。
    兵庫県中小企業再生支援機構の担当者様の講演、他の3名の弁護士パネリストからの報告も勉強になりましたが、何より自分自身がパネリストとして報告することで、今一度、自分自身の頭の整理も出来たので、依頼者の皆様へのわかりやすい説明に繋がる有益な機会になったと思います。

    コロナ禍で、助成金や緊急融資が増えており、この兵庫県でも倒産件数は減っているようです。コロナ禍だけの一過性の経営不振であれば、これらの各種支援策でコロナ禍を凌いだ後、復活を期す、という再建プランは合理性があります。
    しかし、コロナ禍前から別の理由で経営不振が続いておりコロナ終息後も再建プランの具体策もないような場合、あるいは今ある法人から規模を縮小し個人事業主の規模で再建を期す必要がある場合等のケースでは、ただ、コロナ禍が過ぎ去るのを耐え忍ぶだけではどうにもなりません。
    そこで、経営者個人の一定の生計費や華美でない自宅、主たる債務者の実質的な事業継続に最低限必要な資産といったインセンティブ資産を残し、スムーズなリスタートをきる方策の一つとして経営者保証ガイドラインの益々の利用が望まれるところです。

    また、経営者保証ガイドラインの大きな特徴の一つは、経営者たる保証人による早期の事業再生・事業清算の着手の決断に対するインセンティブとして、経済合理性の範囲内で、自由財産に加えて一定範囲の資産を残すことを認めることにあるので、完全にどうにもならない状態に追い込まれてからの弁護士相談ではなく、少し先を見据えた早目のご相談を推奨させていただきます。

    弁護士 松谷卓也

    支払督促手続について

    2022-01-25 | 弁護士の業務内容 >事務対応について >

    支払督促手続について

    支払督促手続とは、債権者からの申立てに基づいて、原則として、債務者の住所地の管轄の簡易裁判所が、債務者に対して金銭等の支払を命じる制度です(民事訴訟法第382条以下)。裁判所が金銭等の支払いを命じると、判決と同様に強制執行が可能となります。
    金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、裁判所は支払督促を発し、債務者が2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の手続を採ることができます。

    【手続の特徴】
    ① 裁判所書記官は、債務者の言い分を聞かないで金銭等の支払を命じる「支払督促」を発することとされています(同法第386条第1項)。
    ② 債務者は、支払督促または仮執行宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間以内に、その支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に「督促異議の申立て」をすることができます(同法第386条第2項、第391条第1項)。
     仮執行宣言を付した支払督促について督促異議の申立てがない場合には、その支払督促は、確定判決と同一の効力を有するものとされます(同法第396条)。債権者は、「仮執行の宣言が付された支払督促」または「確定判決と同一の効力を有するものとされた支払督促」に基づいて強制執行の申立てをすることができます。
    ③ ただし、債務者が所定の期間内に「督促異議の申立て」をすると、通常の訴訟手続に移行(訴額が140万円以下のときは同じ簡易裁判所、訴額が140万円を超えているときは地方裁判所)し、その手続の中で、裁判官が改めて債権者の請求が認められるかどうかを審理することとなります(同法第395条)。

    【手続の流れ】

                              ※裁判所HPより抜粋

    通常の訴訟を提起すると提訴費用も時間も多くかかりますが、より簡易な方法で判決と同様の債務名義が取得できる(強制執行に着手できる)場合がある手続です。手続については、まずは弁護士にご相談いただければと思います。

     (事務スタッフ 山村)

    成年後見の死後事務について

    2021-12-02 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    成年後見の死後事務について

    先日、当事務所が成年後見人を務めていた被後見人の方がお亡くなりになりました。

    被後見人が亡くなると、その時点で成年後見は終了し、成年後見の代理権も同時に消滅します。
    そのため、被後見人の財産に関する相続手続きは後見人ではなく、被後見人の相続人が行うことになるため、成年後見人は成年後見終了の手続き後、速やかに相続人に財産を引き継ぎます。

    被後見人に相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄した場合には、財産を引き継ぐ相手がいないため、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立をし、裁判所から選任された相続財産管理人に財産を引き継ぎます。
    また、相続人が行方不明の場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任申立をし、裁判所から選任された不在者財産管理人に財産を引き継ぎます。

    被後見人の死亡により後見人ではなくなりますので、元成年後見人には遺体の引き取りや、葬儀を行う義務がなく、死後の手続きは、原則として被後見人の親族が行いますが、下記のとおり(民法873条の2)、一部の死後事務については成年後見人が行うことが認められています。

    1.相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
    2.相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る)の弁済
    3.本人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要 な行為(上記1及び2の行為を除く)

    このうち上記3に該当する行為をするには、家庭裁判所の許可が必要になります。
    本件も裁判所へ火葬の許可申立を行い、許可を得た上で葬儀会社と連携し、火葬の手続きを行いました。

    師走に入り、忙しくなってまいりますが、気を引き締めて業務に取り組んでいきたいと思います。

    (事務スタッフ 平尾)

    破産事件について

    2021-08-06 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    破産事件について

    事務スタッフとして働いてきて、今までいろいろな事件を担当させていただきました。その中でも、破産関連の事件は、弁護士の確認や指示を仰ぎながら、事務スタッフも関わることができる範囲も広く、自主性を持って取り組むことができる業務です。
    前回は、破産管財事件についてお話させていただきましたので、今回は同時廃止手続についてお話させていただきます。
     
    1.同時廃止手続について
    ⑴受任まで(ご相談)
    破産等の手続を希望される経緯、財産状況、債権者、債権額をお伺いします。債務超過を解消するための手続は破産以外の選択肢もあるため、どの手続がよいのか、弁護士がお話を伺わせていただいたうえで手続の提案及び弁護士費用のお見積書を出させていただきます。
    方針が決まり、弁護士業務委任契約を締結できれば、受任させていただきます。
    ⑵受任通知の発送
    受任させていただきましたら、各債権者に対し受任通知を発送いたします。受任通知には、債権額を当事務所宛に返送するように記載しています(債権調査)。この受任通知が債権者に届きましたら、通常、連絡はすべて当事務所宛にくることになり、貸金業者については、貸金業法21条1項9号により直接の要求が禁止されます。
    ⑶財産調査
    預金、保険契約、自動車等お持ちの財産を開示していただきます。
    預金につきましては、現在利用していない預金も含まれます。また、配偶者や親族など、生活を共にされている方の預金につきましても開示が必要となることがあります。
    保険契約につきましては、自動車やバイク等の自賠責保険、任意保険も含まれますし、掛け捨てと思われる生命保険も開示ください。
    自動車等につきましては、車検証の写しをお預りいたします。
    また、交通事故の示談金、既に発生している債権、財産権についても、すべてご開示ください。
    ⑷債権調査
    債権者宛の債権調査の返信により債権額が確定させます。
    ⑸破産申立
    財産調査、債権額の確定が終われば申立書類一式を当事務所で作成し、裁判所に破産申立を行います。
    ⑹免責審尋
    裁判所によっては裁判所が債務者に話を聞く機会が設けられます。神戸地方裁判所では、原則免責審尋はありません。
    ⑺決定
    裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない(破産法216条1項)とされており、破産手続廃止となるか否かの基準としては、①免責(債務の返済義務の免除)不許可事由(ギャンブルや浪費等)がないことが明らかな場合②財産が99万円を超えないことが明らかな場合(現金及びすべての流動性預貯金の残高が50万円以下であり、かつ、定期性預貯金、保険等契約返戻金、退職金、賃貸借保証金・敷金返戻金、過払金、貸付金・求償金等、車両処分価格、不動産の評価額等のその他の財産がそれぞれ種別ごとで20万円以下であり、かつ、その総額が99万円を超えないこと)の2点です。なお、判断の基準は、管轄の裁判所によって違うこともあり、最終的には個別事案ごとの判断となりますので、詳細は弁護士にご相談ください。
    上記要件が満たされると裁判所により判断されれば、破産手続開始決定及び破産手続廃止決定が裁判所から出されます。破産手続開始決定と破産手続廃止決定が同時に出されるため、この手続は同時廃止と呼ばれます。
    裁判所から債権者に対し、決定が送付され、決定には免責についての意見申述期間が定められていますので、この申述期間内に異議等ある債権者は裁判所に対して申述します。
    ⑻異議等がなく、上記の申述期間を経過すれば、破産手続は終了です。

    破産手続については、いろいろと分からないことやご不安がおありだと思うので、まずは弁護士にご相談いただければと思います。
     
    (事務スタッフ 山村)

    法律相談、訴訟手続のWEB化

    2021-07-02 | 弁護士の業務内容 >

    法律相談、訴訟手続のWEB化

    民事訴訟手続に関し、既に知財高裁、地裁本庁にWEB会議が導入されているところですが、最高裁によると、2022年夏までに全国203の地裁支部にも順次WEB会議を導入し、その後は他の高裁にもWEB会議を導入していくようです。

    民事訴訟手続のWEB化の動きは、新型コロナ感染拡大前からありましたが、新型コロナの感染拡大により、出頭しなくとも対面に近い感覚で期日の進行ができる方法として、WEB会議がより積極的に利用されるようになったように思います。

    また、WEB会議では、単にWEBカメラを利用して期日を進行するという点だけでなく、データをインターネット上で共有し、これを元に議論を行うなど、電話会議や当事者双方が出頭した期日にはない固有のメリットも存在しますし、今後は法改正により、訴状の提出等も可能となる可能性もあります。

    民事訴訟手続きだけでなく、弁護士会でも、WEBセミナーを行うなどしており、新型コロナをきっかけに、今後も法曹界全体のIT化はどんどん進んでいくのではないかと思います。

    当事務所においても、法律相談、打ち合わせ等について、WEBでの対応をさせていただいておりますので、新型コロナ対策や遠方を理由に来所が困難な場合でも、お気軽にお問合せいただければと思います。

    弁護士 大本健太

    破産事件について

    2021-02-19 | 事務対応について >弁護士の業務内容 >

    破産事件について

     事務スタッフとして働いてきて、今までいろいろな事件を担当させていただきました。その中でも、破産関連の事件は、弁護士の確認や指示を仰ぎながら、事務スタッフも関わることができる範囲も広く、自主性を持って取り組むことができる業務です。
     今回は、破産管財事件について少しお話させていただきます。
     
    1.破産申立事件とは
     債務整理の法的手続のひとつに自己破産申立手続があります。自己破産申立手続は、債務者の状況により、同時廃止手続と破産管財手続とに分かれます。
     同時廃止手続は、個人の債務者のみが対象となり、法人の場合はもれなく破産管財手続となります。また、法人の代表者は破産管財手続となります。個人の債務者の場合でも、ある程度の財産がある場合は破産管財事件となります。
     同時廃止手続とは、破産開始決定と同時に破産手続が廃止され、免責決定も同時に出ます。
     これに対して、破産管財手続とは、裁判所により破産管財人の弁護士を選任され、破産管財人が破産者の財産及び負債等を調査、換価できるものは換価し、破産者の財産が出来る限り減少しないよう負債の発生を抑え、債権者に配当をしたのち、破産終結決定が裁判所より出され、手続が終了します。配当に至らなかった場合は、異時廃止決定が裁判所より出され、手続が終了します。

    2.破産管財事件について
    ⑴ 開始決定まで
     破産管財手続の流れとして、まず、裁判所から破産管財人候補者の弁護士に、破産管財人の就任可能かどうか確認があります。管財人候補者の弁護士の事務所では、債務者や債権者等関係者との利益相反がないかどうかチェックし、裁判所に就任が可能である旨連絡をします。
     就任が決まれば、裁判所から破産開始決定が出されます。
    ⑵ 開始決定後
     開始決定時に破産財団の形成がある程度見込める場合は、破産開始決定と負債額の調査も行いますが、破産財団の形成が見込めない場合や不明な場合は、負債額は調査せず、破産開始決定通知だけを行います。
     その後、破産管財人名義の預金口座を開設し、申立代理人からの引継現金を預かります。また、破産者の財産を換価した場合は、この預金口座へ入金していきます。これと反対に、破産財団を維持するために必要な経費(財団債権と言います。例えば、オフィスを賃貸していた法人の破産手続の場合、賃貸物件の明渡し費用であるとか、ビル経営者の個人の破産管財手続の場合、ビルの維持管理費用であるとかetc.)はこの預金から支払いをしていきます。
     破産者宛の郵便物は破産管財人に漏れなく転送されるように、開始決定時に裁判所から回送嘱託が郵便局に出されます。
    ⑶ 弁済・配当
     換価をし、破産財団を維持するための財団債権を弁済していき、最終的に破産財団が形成されれば、債権の弁済を行っていくのですが、債権には優先順位があり、財団債権、優先債権、一般破産債権の順に弁済していきます。まず、開始決定時からさかのぼって1年以内に発生した税金(これを財団債権と呼びます)の弁済をします。それでも破産財団に余剰があれば、公租公課のうち、開始決定時からさかのぼって1年以上前に発生した税金(優先債権と呼びます)の弁済、それでも余剰があれば、一般破産債権の弁済をするのですが、優先債権と一般破産債権については、通常簡易配当の形をとります。簡易配当まで完了すれば、破産手続は終了します。
     
    (事務スタッフ 山村)

    不祥事調査

    2021-02-03 | 弁護士の業務内容 >

    不祥事調査

    昨年に第三者委員として調査を行った件に関し、調査報告書に記載した再発防止策の提言について、多岐にわたる項目でしたが、全ての項目について対応が完了したという報告を先日いただきました。

    調査内容が多岐にわたるなか、スケジュール的にもタイトで、当時は、年末年始の休みも返上して作業することになり、大変だった記憶がありますが、会社にて、きっちりと改善対応いただき、前向きな新しいスタートが切れていることをお聞きすると、頑張った甲斐があったと非常に嬉しく思います。

    第三者委員会による不祥事調査は危機管理の問題ですが、神戸の中小企業においても、平時の内部統制として、定期的な内部調査、監査に弁護士を使うことは有用と思いますので、うまくご活用いただければと思います。

    弁護士 松谷卓也

    第三者委員会

    2020-02-12 | 弁護士の業務内容 >

    2019年11月から2020年1月にかけて、神戸市等のとある外郭団体の
    第三者委員会委員長として、不適切事案の調査を担当させていただきました。

    非常にタイトなスケジュールの事案であったため、年末年始の休みも一部返上し、
    対応することになりましたが、この1月28日、無事に調査報告書を納品する
    ことができ、ほっと胸をなでおろしています。

    第三者委員会の仕事は、従来の弁護士による代理人業務とは立場が異なり、
    依頼者から独立した立場で対応するという特殊な側面がありますが、
    そこで要求される能力は、証拠収集、事案・証拠分析、事情聴取、論理的思考力、
    事実認定、法律関係の整理という、弁護士としてこれまで培ってきた能力がベースと
    なる点では変わりがないものと思います。

    一般論として、神戸の地元企業における不祥事対応の場面で、神戸の弁護士ではなく、
    東京の弁護士等に第三者委員会の仕事が依頼されるケースもままあるように見受けられますが、
    第三者委員会を設置する事案において委員となる弁護士に要求される能力は、
    東京の一部の弁護士でなければ対応できないようなものではなく(もちろん、事案、
    不祥事の内容、特殊性にもよると思われますが)、むしろ、通常は、
    神戸にいる従業員や関係者などのヒアリングが必要となり機動性が求められること、
    時間的制約があることからすると、地元の弁護士の方がスピード的にも費用的にも、
    望ましいのではないかと思われます。

    上場企業の少ない神戸においてはなかなか機会が少ないジャンルの仕事だと思いますが、
    自己研鑽、研究を続け、今後も機会があればしっかりと対応していきたいと思います。

    また、今後、第三者委員会の仕事を含めた、企業不祥事、危機管理の問題について、
    セミナー等を通じて、神戸においても広めていき、少しでも地元企業がより良い方向に
    改善していく機会を増やしていけるよう尽力していきたいと考えています。

    弁護士 松谷卓也

    ドライブレコーダー

    2019-10-01 | 弁護士の業務内容 >

    2019年8月10日、常磐自動車道において、男女が乗った自動車が、あおり運転を行った挙げ句、進路を塞ぎ、後車を無理やり停車させて、後車の運転者の顔面を何度も殴打する事件が発生し、その様子が記録されたドライブレコーダー映像が、連日、ニュースで取り上げられたことは記憶に新しいかと思います。

    このようなあおり運転等トラブル時の防衛策として、最近、ドライブレコーダーが売れているようで、ドライブレコーダーを活用した自動車保険も損害保険会社から発売されているようです。

    交通事故損害賠償の場面においても、当事者間において、事故態様、過失割合が争われる場合、ドライブレコーダーは重要な証拠となります。

    例えば、信号機の色はどうだったのか、相手車両側に進路変更、右左折の合図はあったのか、一時停止場所での一時停止はあったのか、減速の程度やタイミングはどうだったのか等、ドライブレコーダー映像を確認することで、事実関係が明らかになることがあります。

    もっとも、ドライブレコーダーの性能、撮影範囲により、事実関係が明らかとならない場合もあること、交通事故現場の状況、ドライブレコーダー搭載車両側の進路変更、右左折の合図の有無、車両の接触箇所等、ドライブレコーダー映像だけでは判断し難い事実があることから、ドライブレコーダー映像を前提としても、他の証拠を含めた総合的な事実認定が必要であるうえ、過失割合については、専門的な知見に基づく検討、分析が必要となります。

    事故態様に関する証拠としては、事故現場で立会人の指示説明を聞いた警察官が作成する実況見分調書を含む刑事記録、事故現場周辺の防犯カメラ映像、車両の損傷状況を移した写真、修理費の見積書、当事者、目撃者の供述内容等が考えられます。

    このうち、実況見分調書については、警察に刑事事件として受理されない場合(物件事故として処理された場合等)は作成されないうえ、刑事事件として受理された場合でも、現場立会いにおける警察への指示、説明内容によっては、認識している事実とニュアンスも含め異なるものが作成されてしまう可能性もあり、注意が必要です。

    そのため、交通事故に合われた場合、早期に弁護士に相談されることで、警察への届出方法、現場立会い時の注意点を含めたアドバイスを受けられるうえ、適切な証拠の収集、選別、過失割合の検討、分析を行うことが可能となります。

    弁護士 守屋 明

    自動運転車両に関する法的責任の所在等について

    2019-06-04 | 弁護士の業務内容 >

    2019年6月1日、横浜市内を走る新交通システム「シーサイドライン」が逆走して車止めに衝突する事故が発生しました。

    「シーサイドライン」はコンピューターで制御された自動運行の車両ですが、最近では、皆様の身近でも、自動ブレーキシステム等、運転の一部が自動化された自動運転車が発売されるに至っています。

    このような自動車の運転の自動化を受けて、昨今、自動運転車両が事故を起こした場合の法的責任の内容、所在が盛んに議論されています。

    この点、自動運転車両といっても運転の一部自動化から、運転の完全な自動化まで様々なレベルがあり、レベルによって責任の所在も異なるものと考えられます。

    例えば、基本的な動作をコンピューターが行い、緊急時のみ運転者が対応するレベル3の自動運転車が事故を起こしたケースでは、システムの不具合により事故が生じた場合には、運転者に不法行為責任は生じず、製造メーカー等が製造物責任を負うものと考えられます(ただし、運転者が運行供用者責任を負う可能性はあります。)が、緊急時にシステムが要請した動作を運転者が行わなかった場合には、運転者に過失が認められ、運転者に不法行為責任が生じるものと考えられます。

    現在の交通事故事件では、基本的には、事故の当事者や、車両の所有者が当事者となることが多く、製造メーカーの製造物責任が問われることは少ないのが現状ですが、高レベルの自動運転車両が導入された暁には、そもそも事故の責任が運転者の注意義務違反にあるのか、システムの欠陥にあるのかといった点等、これまでにない新たな争点が生じる可能性があります。

    当事務所でも自動運転車両の導入に伴って生じる責任の内容、所在といった新たな争点について勉強会を行っていますが、今後の議論、自動運転のシステムについては、動向を注視し、勉強し続けていきたいと思います。

    弁護士 大本 健太

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