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企業法務

取締役の責任

取締役は、会社に対して善管注意義務、忠実義務、法令遵守義務を負っており(会社法第330条、同第355条、民法644条)、かかる義務に違反し、その任務を怠った場合には、会社に対して損害賠償責任を負うことになります(会社法第423条1項)。

特に、昨今ではコンプライアンスの重要性が広く認知されており、例えば、大阪高裁平成18年6月9日付判決(ダスキン株主代表訴訟)においては、食品衛生法上使用が認められていない添加物を使用した商品が販売されていたことを後から認識した取締役らが、かかる事実を「積極的に公表しない」ことを黙示的に決め、それを前提にした対応がとられることとなったという事案に関し、当該事実が判明した時点で、会社には直ちにその販売を中止し、在庫を廃棄すると共に、その事実を消費者に公表するなどして販売済みの商品の回収に努めるべき社会的責任があり、上記のような対応は、知られないで済む可能性に賭けた成り行き任せの対応で、消極的に隠ぺいする方針と言い換えることもでき、食品衛生法上使用が認められていない添加物を使用した商品の販売や、その販売継続、隠ぺいといった重大な問題を起こしてしまった食品販売会社の消費者及びマスコミへの危機対応として、到底合理的なものとは言えないとして、被告となった取締役・監査役11人全員に責任が認められており、裁判所においても、有事の際の危機管理について、コンプライアンスの観点から厳格な判断が示されたものと評価できます。

また、そもそも、コンプライアンスの観点からは、危機管理時の対応制度を含め、事前に法令遵守のための適切な内部統制システムの構築が求められていることは言うまでもなく、当事務所においては、有事の際の危機管理対応の他、適切な内部統制システムの構築に関して、コンプライアンスの観点からの助言をさせていただきますので、これらの点についてお悩みの場合は、当事務所にご相談いただければと思います。

 

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