取締役の業務執行は、不確実な状況下で迅速な決断を迫られることが多いものです。
それにもかかわらず、取締役の判断の是非が、事後的・結果論的に評価されるとすれば、責任を負うことを恐れた取締役は萎縮し、リスクを避け、株主の利益となる可能性がある冒険をしなくなってしまう可能性があります。
したがって、取締役の善管注意義務が尽くされたか否かの判断は、行為当時の状況に照らし合理的な情報収集、調査、検討等が行われたか、および、その状況と取締役に要求される能力水準に照らし、不合理な判断がなされなかったかを基準とされるべきであり(経営判断の原則)、同様の考え方をとる裁判例も多く存在します。
このような経営判断の原則に基づく任務懈怠の有無の判断は、会社の経営状況、取引の内容、取引の相手方の資産、経営状況、代替案の検討、これらの事項についての調査の有無、調査内容等に基づく法的判断が不可欠ですので、取締役の任務懈怠責任を問う場合や、会社から任務懈怠責任を問われる可能性がある場合のほか、自身の行動が経営判断として適切かについて法的観点からの助言が欲しいという取締役の方も、まずは当事務所までご相談いただければと思います。