景品表示法は、一般消費者の利益の保護のため、不当な顧客誘引行為のうち、不当な表示と過大な景品類の提供を禁止しているところ、不当表示の規制については、①品質、規格、その他の内容についての不当表示(優良誤認表示)、②価格その他の取引条件についての不当表示(有利誤認表示)のほか、③商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ、内閣総理大臣が指定する表示(その他の表示)が規制されています。
優良誤認表示については、複数のホテルや百貨店傘下のレストラン等での食品偽装問題等で大きくマスコミに取り上げられ、社会問題化したことは比較的記憶に新しいことと思いますが、「鮮魚」と表記しているのに「冷凍魚保存の魚」を使用したり、「和牛」と表示しながら「豪州産の成型肉」を使用したりしていたことが、優良誤認表示として、消費者庁から措置命令が出されました。
有利誤認表示については、本当は地域最安値ではないにもかかわらず、調査をせずに「地域最安値」等の価格や取引条件について表示を行った場合や、最近の出来事でいうと、某法律事務所が1か月間の期間限定の着手金無料サービスの広告を出していたが、実際には延々と何年も続けており、「期間限定」の実態がなかったこと等が問題となりました。
その他の表示については、内閣総理大臣が指定する告示として、「無果汁の清涼飲料水等についての表示」「商品の原産国に関する不当な表示」「消費者信用の融資費用に関する不当な表示」「不動産のおとり広告に関する表示」「おとり広告に関する表示」「有料老人ホーム等に関する不当な表示」の6つの指定が出されています。これらについては、優良誤認表示や有利誤認表示に該当するとは必ずしも言えないものの、一般消費者に誤認されるおそれがあるとして、要件が明確化され規制されています。
消費者庁は、不当表示があると認めるときは、当該表示を行っている事業者に対し、一般消費者の誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないこと等を命ずる「措置命令」を行うことができますし、「指導」「公表」や、これらの対応の前提として調査を行う場合もあります。
行政への対応が重要であることは言うまでもありませんが、景品表示法違反の問題は、公表によりマスコミに取り上げられると、企業のブランドイメージ、信用が大きく損なわれ、経営上の損失は計り知れないものとなりますので、企業にとっては、景品表示法上の規制を前提とした、コンプライアンス体制を構築することは必須といえるでしょう。