法人のお客様
HOME  >  法人のお客様  >  企業法務  >  少数株主の締め出し

少数株主の締め出し

少数株主であっても、株主である以上は、株主として様々な権利が認められるため、特に、会社経営陣と敵対的な関係にある者が少数株主である場合は、株主総会対策や裁判対応などに多くの費用と時間がかかるおそれがあります。

そのため、少数株主がいる会社においては、株主対応コストの削減等のため、少数株主から株式を取得し、会社から締め出しておきたいというニーズがあります(このような少数株主の締め出しをスクィーズアウトといい、特に金銭を対価とするものをキャッシュアウトといいます。)。

平成26年改正会社法施行以前の実務でキャッシュアウトの方法として広く利用されてきたのは、全部取得条項付種類株式の取得によるものでしたが、同改正により株式併合の場合にも反対株主の株式買取請求権(会社法182条の4)、株式併合の差止め(同法182条の3)等の少数株主の保護のための手続きが整備され、株主総会決議が取り消されるリスクが低減されたため、より手続きが簡便な株主併合によるスクィーズアウトや同じく同改正によりキャッシュアウトを行うための新たな方法として導入された株式等売渡請求制度(同法179条乃至同法179条の10)を用いるのが主流となっています。

このうち、株主併合によるキャッシュアウトとは、株式の併合割合を、株式併合後の少数株主の保有株式が1株未満の端数になるよう調整して、端数については金銭で清算するもので、この方法による場合には、株主総会の特別決議が必要となる他、端株の精算の際、裁判所の許可が必要となります(同法325条1項)。

一方、株式等売渡請求制度とは、ある対象会社において、その株主が、自ら及び自らが発行済み株式の全部を有する法人において、対象会社の総株主の議決権の10分の9(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を有している場合(当該株主を特別支配株主といいます。)、特別支配株主は、対象会社の承認を得ることにより、株主総会決議を経ずして、対象会社の株式全部をその特別支配株主に売り渡すことを請求することができるというものです。

この手続きには、①対象会社の株主総会決議が不要、②新株予約券・新株予約券付社債のキャッシュアウトも可能、③少数株主に交付された1株未満の端数の処理が不要、といった長所がある一方で、9割以上の議決権を確保できる場合にしか利用できないといった短所があります。

このように、スクィーズアウトの方法は様々であり、それぞれの方法にメリット、デメリットが存在するうえ、少数株主の締め出しの方法としては、このような方法があることを前提に交渉を行い、合意のうえで株式を取得することも考えられるところであり、適切な方法選択には、貴社の株式配分、少数株主との関係性等を考慮したうえでの判断が必要となるものと考えられますので、専門家である弁護士に相談することをお勧めいたします。

企業法務に関連する情報

ページトップへ