危機(企業不祥事)とは、企業が社会(ステークホルダー)の信頼を失い、企業価値が毀損している状態であり、危機管理とは、企業が失った社会の信頼を回復し、毀損した企業価値を回復するプロセスをいいます。
危機管理の本質は、謝罪会見の場での対応を指導することにあるのではなく、事実、原因(真相)の究明、原因を除去する再発防止策の策定、実行にあるもので、最終的にはこれらのプロセスを社会に開示し、説明責任を果たして、企業に自浄能力があることを示すことにあります。
そのため、危機管理は、コンサル等の業務ではなく、本来的に、事実認定や事実調査、証拠評価ができる弁護士が責任を果たすべき領域といえます。
企業不祥事が生じた際、危機の程度、内容によって、企業トップとしては、調査委員会の立ち上げを検討することになります。
小規模の企業で、不祥事の内容、レベルも大きくない場合、社員や顧問弁護士による内部調査委員会の設置による調査で足りると思われますが、大規模な不祥事の場合は、中立性、公平性が保障される外部有識者による第三者委員会の設置を検討することになり、中規模の場合は内部委員と外部委員のミックスによる折衷型の調査委員会を立ち上げることもありえます。
また、これらの調査を行い、原因究明と再発防止策が策定された後、再発防止策の実行、チェックは社内での実務運用に委ねることになりますが、実効的なチェック機能を果たし、不祥事を繰り返さないためには、顧問弁護士の活用が重要なものといえます。