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会社の設立

会社の設立の方法には、設立の企画者であり設立事務の執行者でもある発起人が設立時発行株式の全てを引き受け、会社成立後の当初株式になる方法(会社法第25条1項1号 発起設立)、発起人が設立時発行株式の一部だけを引き受け、残りについては発起人以外の者に対して募集を行い、発起人と、募集に応じて設立時発行株式を引き受けた者とが会社成立後の当初株主になる方法(同項2号 募集設立)とがありますが、いずれの場合も、定款の作成、出資及び機関の設置等により会社の実態を形成したうえで、設立の登記を行うことによって法人格を取得させるというプロセスで行われます。

定款の作成については、まず、発起人が目的、商号、本店の所在地等を記載した定款を作成し(同法第26条、なお、同法第27条1号乃至5号、同法37条に定められた事項は絶対的記載事項といい、法律上必ず定款に記載しなければならないものとされています。)、その全員が当該定款に署名又は記名、押印したうえ、公証人の認証を受けなければなりません(同法30条1項)。

出資については、設立時発行株式に関する事項のうち、設立に際して出資される財産の価額又は最低額を定款に定める必要がある他(同法第27条4号)、それ以外の事項については、定款外で適宜決定することができます(原則として発起人の多数決によりますが、法32条所定の事項については発起人全員の同意が必要となります。)。

実務上は、出資の履行が無い場合に備えて、出資される財産の最低額を定めることが多いと思われますが、出資された財産の最低額以上の払い込みがあったとしても、設立時発行株式を1株も引き受けない発起人がいる場合には、設立手続きを続行することが出来ないため(同法第25条2項)、定款を変更し、改めて公証人の認証を受け、設立手続きを更新する必要があります。

発起人、設立時募集株式の引受人は、設立時発行株式の引き受け後、遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式の全額の払い込み(発起人が金銭以外の財産を出資の対象とした場合にはその出資に係る金銭以外の財産の全部の給付)をしなければなりません(同法34条1項、同法63条1項)。

特に、発起人が現物出資を行う場合には、その旨を定款に記載しなければならない他、公証人による定款の認証後、遅滞なく、その事項を調査させるため、検査役の選任を申し立てなければなりません(同法33条1項及び2項。ただし、現物出資財産の定款に定めた価額の総額が500万円を超えない場合等、検査役の調査が不要となる場合もあります。同条10項1号乃至3号)。

発起設立においては、出資の履行が完了した後、遅滞なく、発起人により設立時取締役等が選任され(法第38条。なお、募集設立の場合には、創立総会の決議によって選任されることとなります。同法第88条)、設立時取締役等は、選任後遅滞なく、出資の履行が完了しているか等を調査しなければならず(同法46条1項各号)、その後、会社の設立の登記を経て、会社は法人格を取得することになります。

このように、会社法の設立には細かな手続きが定められており、このような手続を看過して漫然と設立手続を行うと、公証人の再認証、定款の再作成等、余計な費用と手間がかかることになるばかりか、場合によっては会社設立の無効を主張されるなど、後日の紛争の原因にもなりかねません。

また、会社設立の際には、その後経営を睨んでの株式比率の検討、出資が履行される可能性等、法的観点からの検討が必要とされる事項もありますので、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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