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賞与の意義

賞与は、支給の有無、額、算定方法がもっぱら使用者の裁量に委ねられている場合には恩恵的給付であって賃金ではありませんが、労働協約、就業規則、労働契約等に支給時期及び額ないし計算方法が定められて支給される場合は労働の対価たる賃金となります。

就業規則上、支給日在籍要件が規定されている場合、賞与の支給対象期間に勤務しているが、支給日までに退職して在職していない者に対して賞与を支給しない取扱いが許されるかどうかについて、判例は支給日在籍要件の有効性を前提として賞与請求権を認めていません。

また、賞与には、年齢や勤続年数、職種、出勤日数等の客観的要素によって支給が定める部分と使用者の主観的評価たる考課査定によって支給額が定まる部分によって分けられることがあり、このうち客観的要素によって支給額が定まる部分については恣意的判断で支給額を減額することは許されないと考えられています。

なお、中小企業においては、残業代は支給しないが、賞与は支給しているという例を聞くことがあります。採用時に賞与支給ありと説明したほうが、人が集まりやすく、採用しやすいという考え自体は理解できないわけではありませんが、賞与については、上記のとおり、制度設計として使用者の裁量に委ねることで恩恵的給付とし、支給しない取扱いとすることができるのに対し、残業代は労働基準法により一定の除外事由に該当しない限り支給する義務が厳格に定められていることからすると、法的に見て、ちぐはぐな対応、リスクのある制度を採用していると言わざるを得ません。

当事務所においては、賞与の支給に関し、トラブルとなった場合の事後的な対応についてご相談に応じていることはもちろんですが、賞与を含めた賃金全体の制度設計等の事前対策、会社の仕組みづくりについてもアドバイスさせていただいており、トラブルになる前の事前対策であれば、より選択肢が広がるとともにリスクの低い対応をとることもできますので、具体的なトラブル発生前の段階であってもご相談いただければと思います。

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