期間を定めて労働契約を締結する場合(有期労働)やパートタイムも、労働契約法、労働基準法など労働法の適用がされますが、正社員とは異なる取扱いがされる場合があり、有期雇用やパートタイムに適用される規定についても理解しておく必要があります。
有期労働契約においては、当事者が期間の定めに拘束される結果、使用者は、期間中は原則として契約を解除(解雇)できず、例外的に「やむを得ない事由」がある場合でなければ解雇できないとされています(労働契約法17条)。これは、正社員を解雇する場合(労働契約法16条の「客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる事由」)よりも厳格な要件であり、期間中は、正社員よりも解雇が難しいといえます。
また、有期労働の場合、契約期間が定められている以上、契約期間満了により、契約が当然に終了し、契約更新は当事者の自由に委ねられています。しかし、無期労働における解雇と社会通念上同視できる場合や、労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる場合、契約更新をしないで労働者の地位を失わせることが不当であるとして、雇止めに歯止めをかける判例法理が形成され(雇止めの法理)、労働契約法19条として条文化されています。そのため、労働者を雇止めする際には、雇止めが無効とならないよう慎重な検討が必要となります。
他方、経営悪化を理由とする雇止めについて、裁判例は、雇止めを判断する基準は、いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を締結している正社員を解雇する場合とはおのずから合理的な差異があり、正社員を対象として希望退職者を募集する前に有期労働者の雇止めを行った場合もやむを得ないとして雇止めを有効としています(日立メディコ事件・最高裁昭和61年12月4日判決)。
これについて、パートタイムの場合、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(いわゆる、パートタイム労働法)9条(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)及び同法に関する通達によると、「経営上の理由により解雇を行う場合には、解雇対象の選定が妥当である必要があるが、通常の労働者と同視すべき短時間労働者については、労働時間が短いことのみをもって通常の労働者より先に解雇する場合には、解雇対象者の選定基準の設定において差別的取扱いがなされていることとなり、」パートタイム労働法9条違反となるとされ、単なる有期労働の場合よりも強い保護を受けます。
以上のとおり、有期労働、パートタイムについては、正社員とは異なる規制があり、その雇用形態に応じた労務管理が必要となりますので、労務管理体制の構築、運用については、当事務所にお気軽にご相談下さい。