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メンタルヘルス

従業員がうつ病等の精神疾患を発症する原因は多様ですが、過重労働や過重負担、ハラスメントなどから来るストレスを主たる原因として精神疾患を発症した場合、使用者の責任が問われることになり、人事上の配慮も検討することになりますが、私生活上の問題で精神疾患を発症し、労務に従事できなくなった場合、使用者としては休職あるいは解雇を検討せざるを得ないでしょう。

しかし、現実問題としては、精神疾患の発生時期、発生原因、治癒時点など、客観的に判断することは困難であり、企業としても対応に悩むところだと思います。

労働基準監督署は、精神障害に関する労災認定について「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めているところ、同基準は①認定基準の対象となる精神障害を発病していること、②認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること、③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと、を挙げています。具体的な認定基準の詳細は、厚生労働省作成の「精神障害の労災認定」で確認することができます。

また、裁判所も、基本的には「心理的負荷による精神障害の認定基準」を参考としながら、当該労働者に関する精神障害の発病に至るまでの具体的事情を総合的に斟酌し、必要に応じてこれを修正する等の手法で労災認定の是非を判断しているようです。

もっとも、裁判所は、精神疾患の場合は、労働者の性格や体質が大きく影響していることから、精神障害は、環境由来のストレスと個体側の反応、脆弱性との関係で精神的に破綻が生じることで発症することを踏まえたうえで、業務上の負荷が、社会通念上、精神障害を発症させる程度に過重であったか否かを慎重に検討しており、個体の脆弱性が大きければストレスが小さくても破綻が生じることを判示した裁判例もあります。

なお、個体側の要因、個性が、通常想定される範囲を外れるもので、損害を公平に分担させるという損害賠償法の理念に照らして民法722条の過失相殺の規定を類推適用することができるような場合には、仮に使用者の損害賠償義務が認められても、使用者の損害賠償義務を何割か減額することもありうるところですので、労働者から損害賠償請求を受けた場合、事案によっては素因減額の検討も必要だと思われます。

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